【実習編①】卒業生が語るタキイ園芸専門学校【農業の東大】

2023年8月16日

滋賀県湖南市にある農業の専門学校を知っていますか。

通称「農業の東大」と呼ばれる、タキイ研究農場付属園芸専門学校。

創立から75年経った現在も、農業を志す若者が全国津々浦々から集まってきます。

しかし、その実態はベールに包まれています。

ネットでタキイについて調べても、中々欲しい情報に出会えなくて困っている方も多いのではないでしょうか。

今回から全四回にわたって、タキイの卒業生である筆者がタキイに関する情報をぎりぎりまでお伝えしようと思います。

「タキイに興味があるけど詳しい情報を知りたい!」、「タキイに入学しようか迷ってる」といった方の参考になるような情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

第一弾の今回は、タキイで行われる実習について詳しく書いていきます!

実習編は前半・後半に分けてお伝えします。

前半では野菜第一グループ~野菜第三グループについて詳しく書いていきたいと思います。

学校のホームページやネットに出ている情報については所々省いてご紹介しますのでご了承ください。

グループについて

タキイでは全6グループに分かれて実習を行っていきます!

グループは以下のように分かれています。

  1. 野菜第一グループ
  2. 野菜第二グループ
  3. 野菜第三グループ
  4. 野菜第四グループ
  5. 野菜第五グループ
  6. 花卉グループ

本科生は毎日違ったグループに配属され、専攻生は前期・中期・後期で希望するグループに配属となります。

例えば、本科生なら月曜日は第二グループ、火曜日は花卉グループ、水曜日は第一グループ...というように配属されます。

※稀に二日連続で同じグループに配属されることもあります。

専攻生だと、前期に第三グループを希望した場合は、前期の期間は毎日第三グループという感じです。

では、それぞれのグループを詳しく見ていきましょう!

野菜第一グループ

第一グループで扱う作物は、主にナス科の野菜です。

細かく言うと、「トマト」、「ピーマン」、「ナス」です。それに加えて、「イチゴ」の実習も行われます。

夏季は露地で、冬季はハウス内で栽培管理を行います。イチゴに関しては年中ハウス内で実習が行われます。

第一グループは夏季が最も忙しいので、入学してから夏季休暇までは多くの本科生が、第一グループもしくは後述する第二グループに配属されると思います。

炎天下の中、延々と定植や脇芽とりといった管理をするので、かなりしんどいと思います。

特に露地トマトは広範囲に植わっているのでめちゃくちゃ大変です。

ですがその分、収穫の時の喜びもひとしおです!

また、つらいときは助け合ったり、敢えて煽ったりと、お互いを高めあうような風潮がタキイでは当たり前にあります。

夏を乗り切ることがタキイ生としての最初のハードルのようにも思えますね。

逆に冬季は配属される人数は少なめです。

主に施設栽培の管理になるので、夏季に比べて栽培面積は広くないものの、ハウス内が蒸し暑くなっているので結構汗はかきます。

蒸し暑いハウス内で延々と摘葉をしたのは良い思い出です(笑)

イチゴの栽培管理は別隊で行うことが多いです。

別隊とは、本隊(その日の実習をメインで行う部隊)とは離れて別の実習を行う少数精鋭部隊のことです。

その日の最初に、別隊に行きたい人が募集されるので、積極的に手を挙げるといいと思います。

正直、別隊で学べることの方が多い印象があります!

野菜第一グループはまとめると以下のようになります。

  • 主に扱う作物はナス科
  • 夏季が忙しいグループ
  • 冬季は主に施設栽培
  • イチゴの管理は別隊で行われることが多い

野菜第二グループ

第二グループで主に扱う作物は、ウリ科とマメ科の野菜です。

ウリ科では「キュウリ」、「スイカ」、「メロン」、「カボチャ」などを主に栽培します。

マメ科では、「インゲンマメ」、「スナップエンドウ」などを主に栽培し、それに加えて「トウモロコシ」、「オクラ」も栽培します。

第一グループと同様に、夏季が忙しいグループです。

露地栽培と施設栽培を同時に行うので、かなり体力を使います。

ちなみにトウモロコシは露地栽培、オクラは施設栽培です。

第二グループのメイン実習は何といってもスイカとカボチャの交配実習

5月から6月にかけて行われ、この期間は朝早くから夕方遅くまで実習を行うので、かなりしんどいと思います。

しかし、無事に着果し、どんどん生長していく様子を見ているとその疲れすら忘れてしまいます(笑)

私はカボチャの交配を担当しましたが、楽しかった思い出しかないです。

もちろん、品種改良のための研究材料なのでかなりシビアな実習ですが、それ以上に自分の知らなかった世界を見れて、とても有意義な実習だったなと思います。

毎回思うことですが、植物の生長スピードには本当に驚かされます!

第二グループも夏季には収穫ラッシュが始まりますので、かなりの人数が配属されると思います。

朝一でキュウリ、ズッキーニを収穫し、続いてハウス内でオクラを収穫して。。。

特にこれらの作物は一日見逃すだけで収穫サイズ以上に大きくなってしまうので、収穫漏れがないように注意して実習を行います。

収穫と並行して栽培管理も行います。

個人的にはキュウリの管理がかなりしんどかったです。

露地のキュウリがかなり広範囲に植わっているので毎回時間ギリギリに実習が終わっていた印象があります。

冬季は打って変わって、ハウスのビニール交換や、加温ハウス内で栽培管理を行います。

かなり落ち着いて実習に取り組めると思います(笑)

ハウスのビニール交換は高所での作業になるので、危険性は高いですがかなり楽しいです。

野菜第二グループはまとめると以下のようになります。

  • 主に扱う作物はウリ科とマメ科
  • 夏季はかなーり忙しい
  • 交配実習という貴重な実習がある
  • 冬季はかなり落ち着く

野菜第三グループ

第三グループで扱う作物は、葉菜類です。

アブラナ科では、「キャベツ」、「ハクサイ」、「ブロッコリー」、「ケール」などを栽培します。

ほかにも、「ミズナ」、「コマツナ」、「シュンギク」といった軟弱野菜、「セロリ」や「ホウレンソウ」も扱います。

第三グループは夏季~冬季にかけてが忙しいです。

春季は主にハウス関係や交配用の作物の管理が中心ですが、夏季からはかなり体力勝負になるグループです。

夏季になると、まず整地祭りが始まります。

整地に関しては後編の記事で紹介しますのでここでは説明を省きます。

整地が終わると次は定植祭り。

葉菜類はセルトレイで育苗をするので、苗がかなり小さいです。

根鉢を崩さないように且つ素早く定植しなければいけないので、全身筋肉痛になると思います(笑)

長時間、中腰で実習を行うのでかなりしんどいです。

休憩時間には日陰で寝ている生徒も多いですね。。

夏季のしんどい実習の後は栽培管理が中心に行われます。

特に中耕や薬剤散布は体に応えます。

果てしなく続く畝を、延々と中腰で回らなければならないので、体中バッキバキになります(笑)

冬季には収穫や圃場片付けが待っています。

圃場片付けが多い印象がありますね。

ハクサイやキャベツといった結球野菜は重量があるので特にキツイです。

個人的には、片付け系の実習は祭りのように盛り上がるので結構楽しかった記憶があります(笑)

また、冬季にはすでにほとんどの生徒が実習に適した体になっています。

文字だけ見るとかなりしんどいように感じると思いますが、実際はそうでもないですよ。

心配しなくても、夏季を乗り越えればあとはどうにかなるので、そんなに身構えなくて大丈夫です!

野菜第三グループはまとめると以下のようになります。

  • 主に扱う作物は葉菜類
  • 夏季~冬季が忙しい
  • 夏季は特に体力勝負
  • 冬季の圃場片付けはお祭り

おわりに

今回はタキイの実習の中でも野菜第一グループ~第三グループまでを紹介しました。

それぞれのグループや実習のイメージは掴めましたか?

残りの野菜第四グループ~花卉グループについてまとめた記事はコチラから↓

最後までご覧いただきありがとうございました。