【早見表】アトピー性皮膚炎の新薬まとめ

2022年7月27日

アトピー患者の数は年々増加していて、2017年には51万3000人という発表が出されています(厚生労働省)。かゆみによるストレスに悩まされている方も多いと思います。今回は、アトピー性皮膚炎の新薬について書いていこうと思います。

新薬一覧

薬名主な効果
トラロキヌマブ湿疹の改善
ネモリズマブかゆみを抑える
デルゴシチニブ軟膏かゆみ、炎症を抑える
ホスホジエステラーゼ4炎症を抑える
Benvitimod湿疹、かゆみの改善

トラロキヌマブ

Th2サイトカインの1つであるIL-13を標的としている薬です。Th2サイトカインとはアトピーの炎症を引き起こす原因となる存在で、炎症のみならず、乾燥肌にも関係します。

トラロキヌマブは2019年時点で治験中の薬剤ですが、アトピーに対する効果の有効性が証明されつつあります。2021年でもまだ発売はされていないようです。

ネモリズマブ

かゆみの原因の一つであるIL-31RAを抑える薬です。IL-31RAはアトピーが重症化すると上がってくる数値で、かゆみを直接引き起こすことが分かっています。

IL-31RAをブロックすることでかゆみが改善するという論文もあり、2020年時点で治験がほとんど終了しています。一般的に使えるようになる日は近いかもしれませんね。

デルゴシチニブ軟膏

JAKという細胞内のシグナルを抑える機能を持った軟膏です。JAKとは、細胞内で働いていて、最終的にTh2サイトカインの産生につながる分子のことです。リンパ球などがTh2サイトカインを放出してアトピーの症状を悪化させますが、JAKをブロックすることでTh2サイトカインが放出されなくなります。その結果、かゆみ、炎症を抑えることができます。

デルゴシチニブ軟膏は、2020年に「コレクチム軟膏0.5%」として日本で発売されました。コレクチムという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。かなりおすすめの新薬ですが、値段が高いのがネックです。はじめは少なめに処方してもらい、顔や腕など塗る部位を決めて、効果を見てから本格的に使うかを判断されると良いと思います。

ホスホジエステラーゼ4

PDE-4を阻害して炎症を抑える薬です。PDE-4にはリンパ球を活性化して炎症性サイトカインを放出する役割があります。この薬は飲み薬と塗り薬の両方での開発が進んでいます。

2020年9月に大塚製薬が「ジファミラスト」という名前で製造販売申請を行っています。「ジファミラスト」は軟膏の薬で国内の臨床試験では有効性および安全性の面でポジティブな結果が得られたと発表しています。「ジファミラスト」は2021年時点ではまだ発売されていないようです。

Benvitimod

Benvitimod は炎症を抑える分子のことですが、なぜ炎症を抑えるのかは解明されていないという、未知の分子です。ステロイドとは異なる物質ですが、ステロイドと同様に炎症に関わるタンパク質を減少させる効果が報告されています。

実際にアトピー患者に投与した研究で、湿疹とかゆみが改善したという報告がされています。今後のアトピー治療で間違いなく活躍してくれると思われます。専門機関の研究開発に期待したいですね。

アトピー現代病

Posted by 若生剛