【アトピー副作用】ステロイドは危険なの?|アトピー患者が語ります

2022年7月14日

ステロイド治療をしている方なら必ずと言っていいほど耳にする「副作用」。テレビやネットには実に多くの情報があふれていて、まさに玉石混交といった状態です。今回はステロイド治療における副作用に着目して、ステロイドは危険なのかについて書いていこうと思います。

そもそもステロイドとは?

 ステロイドとはホルモンの一種で、ステロイドホルモンは何種類もあります。

例えば、筋肉増強剤としてのステロイドは聞いたことがある方もいるかと思います。スポーツのドーピングで有名ですね。これらは「性ホルモン」に分類されますが、アトピー治療で用いられるステロイドは「副腎皮質ホルモン」という扱いになります。

ステロイドには抗炎症作用があるため、自己免疫疾患に広く使われるようになりました。

1949年、関節リウマチの患者に初めてステロイドが使われ、寝たきり状態だった患者が動き出したとニュースになりました。それ以降、ステロイドは脚光を浴び、多くの人の命を救っています。

しかし、1994年ごろにテレビの報道番組でステロイドの悪影響が特集されて以降、アトピー患者がステロイド治療をやめてしまうことが頻発しています。現代では「アトピービジネス」という悪質な民間療法の出現により、ステロイドをめぐる混乱は拡大しています。

間違った副作用①酒さ様皮膚炎 

顔などの皮膚の薄い箇所に強いレベルのステロイドを塗布し続けると、毛細血管が浮き出て顔に赤みが出る症状を引き起こすことがあります。これを「酒さ様皮膚炎」と言います。

ステロイドは体の部位によって吸収の度合いが変わってきます。特に顔は吸収の度合いが強いので、弱いレベルのステロイドを塗布します。逆に皮膚の厚い箇所には強いレベルのステロイドを塗布しないと効果が出にくいと言えます。

ステロイドを塗る箇所や薬の強さを間違えると、副作用が起きる危険性が高まります。適切に使用することで酒さ様皮膚炎を防ぐことができます。

間違った副作用②経皮毒

これは、「皮膚で吸収した合成物質が体内に吸収されて子宮にたまる」といったもので、明らかなデマです。

皮膚から吸収したものはリンパ管の中に入り、最後は腎臓から尿として排泄されるのが人間の体の仕組みです。このことから子宮にたまることはまずないです。

経皮毒を唱えることで得をしているのは先に述べた「アトピービジネス」に関わる人間だけです。経皮毒というワードでアトピー患者を脅すことで、自分たちの商品が売れやすくなるという仕組みです。

間違った副作用③肌が黒くなる

この説はかなり有名で聞いたことのある方は多いと思います。しかし、これも間違った情報になります。

アトピーとステロイドの関係について、「火事の現場」と「消防」に例えられることが多いです。アトピーによる炎症が「火事の現場」でステロイドによる治療が「消防」といった感じです。

火事が起きたら消防隊が消火活動を行い、鎮火のために尽力します。そして鎮火に成功すると火事の現場には焼け焦げた残骸が残ります。その光景を見て、「焼け焦げた残骸があるのは消防隊のせいだ」という人はまずいないですよね。

それと同じで、肌が黒くなるのは皮膚の炎症(火事)のせいであって、ステロイド治療(消防隊)のせいではないということです。あくまでステロイドは皮膚炎を抑えるためにはたらいているのです。

結論:ステロイドは怖くない

ステロイドは正しく使えば怖くありません。あまり知られていないのですが、ステロイドには塗る量が決められています。その量というのが、「大人の人差し指の一番先から第一関節に乗る量」(約0.5g)です。この量で「手のひら2枚分の範囲」に軟膏を塗るのが適量とされています。

また、ステロイドの塗る量はすべての年齢において「体重10㎏あたり月間15g未満」であれば、全身の副作用(糖尿病や骨粗しょう症など)は起きないとされています。しかし、最強ランクのステロイドに関しては1日に塗る量に注意が必要です。子供は1日5g以上、大人なら1日10g以上使うと、副腎皮質の機能が抑制されてしまう可能性があります。

気になることや不安なことは事前にまとめておいて、直接医者に聞くのがいいと思います。ただし、稀にデマを言う医者もいますので(実体験)、注意が必要です。本当に信頼できる医者を見つけて、アトピー治療に取り組んでいきましょう。

アトピー現代病

Posted by 若生剛